見崎 鉄(@msk_tetsu)

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悪の教典

文藝春秋 2011-11

貴志 祐介

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book
[悪の教典] 見崎 鉄さんのよみつい
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続き[悪の教典]作者に書いてほしいのは、事件のその後だ。現実の注目を集める事件では、犯人像の解釈、社会的文脈への位置づけなど、事件のあとに言説が噴出する。この小説でそれをやれば、作者は、共感を欠如させただけでこんな怪物が生まれるのかということについて反省的に分析できるだろう。

続き[悪の教典]この小説の試みは、共感能力を欠くが知力体力を備えたスーパーマンのような男が論理だけでつき進んでいったらどういうことになるかということだろう。この小説は凄惨だが滑稽でもある。それは論理だけに頼っていることからくる滑稽さだ。

続き[悪の教典]私がずっと感じていたのは、大量殺人を書く著者の倫理観だ。小説の主人公ハスミが、共感能力を欠くために他人を自分と同じ人間ではなく道具的存在(手段)としてしか見れないように、著者にとって大量殺人という筋書きは物語を展開するための道具立て(手段)に過ぎないのだろう。

[悪の教典:貴志 祐介]犯罪を隠すために犯罪を重ねる。死体は死体の中に隠すというE.R.ポーの論理をきっかけに大量殺人へ。共感能力が低いから論理が優先する。前半の「いい先生」ぶりがあるから、反転する後半が生きてくる。これは長編でなければできない。らもの『ガダラの豚』のよう。